『ホゼ・アグエイアス×柳瀬宏秀』対談(CROSS M 2000年春季号より)

 

『ホゼ&ロイディーン・アグエイアス×柳瀬 宏秀 』

「時間をはずした日の祭り2000」
<RAINBOW BRIDGE PROJECT>

 

柳瀬)

芸術によって精神を高揚させる空間を創ろうと「時間をはずした日に祭り」を呼びかけ、日本で100以上、世界で300近くのコンサートやイベント、「祭り」が行われた。そもそも、「時間をはずした日」とは何なのかを、ここで説明していただけますか。

 

ホゼ)

「時間をはずした日」とは、「13の月のカレンダー」という自然な時間の機能の一部です。つまり28日間が13ヶ月あって、この28日間というのが自然のサイクルなんです。女性の生理とも関係がありますし、月のサイクルとも一致しています。私達はこれまで自然な時間を破壊してきました。それで、13ヶ月かける28日イコール364日というものを取り戻したいと思います。で、このカレンダーでいきますと、365日目はどこの曜日にも属さない「時間をはずした日」になるんですね。それが、「時間をはずした日」なんです。このカレンダーは実は、第2次世界大戦前に、世界連盟が世界に提供しようとしていたものです。しかしこの時、バチカンが、この時間をはずした日というアイデアが嫌いだからと言うことで、結局、この話がつぶれてしまったんです。

 

柳瀬)

昨年から、芸術による「時間をはずした日の祭り」の呼びかけ文を僕の方で作って、精神が高揚した祭りの空間では、三次元に捕らわれた、時間の概念から解放されている、だから、「時間をはずした日」にやろうと呼びかけ。この呼びかけに共鳴した人々によって1999年7月25日の「時間をはずした日」に、世界中で祭りが行われたわけですが、でもその前に、そもそも、時間をはずした日の活動は?

 

ホゼ)

「時間をはずした日」に関しては92年からしておりました。それは、いろんな、借りですとかいろんな負債をキャンセルして、ゼロに直して、人々がお互いを許し合う、そんなスピリチュアルな意味合いを持った日でした。柳瀬さんは,アーチストを中心に「時間をはずした日」を行ったのですが、これは非常に大切なことなんですね。アーチストと言うのは、すぐさま「時間をはずした日」というテーマに反応するんです、なぜかと言うと、アーチストは自分の芸術の中にいると、その時彼らにとって時間の無い状態なんですよ。だからこう言う良い反応をしてくれたんだと思います。
「時間をはずした日」に、世界中の何千人ものアーチストが、同時に同じ事をやって、それがつながるというのは、アーチストのイマジネイションを非常に刺激する、エキサイトするものではないでしょうか、ですから、彼らはこの日こそが彼らの日であると感じるのかもしれませんね。で、世界中の人々と、時間をはずした日にテレパシ‐によってつながると言うのが、彼らを啓発する考え方なのかもしれませんね。アートを通して真実を表現すると言うのがこれこそが本当の表現の仕方かもしれません、戦争よりもアートを通して世界がひとつになる、これが大事なんです。アーチストは世界を変えるために、私は非常なパワーを持っていると考えます。それはどうやるかと言うと、全世界のアーチストの力を集結させる、シンクロナイズさせる、これが大事なんです。そして、「時間をはずした日」を通してシンクロナイズさせることが、大事なんです。

 

柳瀬)

芸術の意味とさらに、祭りの意味って言うのを、ホゼから聞いてみたいなという気がします。で、これはちょっと、今、日本における祭りの復活と言うのを企んでいるんでいる部分もあるんで。で、おもしろいと思ったのは、これに参加したアーチストが、タイトルを「時間をはずした日」としたもんだから、時間について考え始めた、時間の哲学を持ち始めた、で、これは多分、今まで、無かった動きだと思います。この2000年から2001年という時期にアーチスト達が、時間の哲学を持ち始めるというのは、凄い大きな事だと思います。

 

ホゼ)

植物が花を咲かせるように、人々はアートすると、考えています。植物が毎年花を咲かせるように、人々が芸術的な活動をするのは、自然に備わっている機能の一部なんですね。芸術こそが、人間の生活を完全なものにします。芸術なしでは、人生は生きる価値がありません。きちんと自然と生きるということは、アートをする、芸術的活動をすると言うことです。

 

柳瀬)

たとえば、昔は月見をしましたよね。今、いつ満月かを知っている人が非常に少なくなって、最近の話では、朝日夕日を見たことがない小中学生が23パーセントいるって言う。月を見るってことは、月を見て詩を書いたって事は、月の同じ影響力、引力の影響によって生きている生命と、理屈じゃなく、直感的に全ての生命とつながって、だから詩が生まれたんだと思うんですね。それは風流で詩を書いたんじゃなくて、それが生きるって事だったんです、だから自然のリズムと芸術って言うのは、自然のリズムの中で生きるって事そのものが芸術だったと思うんです。それが、月見、花見、雪見をしてた日本人の精神であり、そして芸術活動であり、それが生活だったじゃないですか。それを今取り戻す必要がある。・・で、人工的な価値観に生きて化学肥料や農薬で、農業やると、収穫できた時に今年の化学肥料は良かったと思いますよね。大地のお陰だと思わない。だから、農業やっている人が大地が疲弊しているのに気がつかなかった。そうすると、祭りから魂が抜け、感謝の気持ちがなくなってしまった。だから祭りを復活させたい。それは、本来のアートを復活させたい。そう言うメッセージだと。

<人間の心がアートを通して、そして、自然のサイクルと一致することによって>
<自然に、そして、地球に影響を与えることができる。>

 

ホゼ)

もう一つ付け加えますと、人工的な時間の中にいるおかげで、わたしたちは、「時は金なり」という考え方を発展させてきました、しかし「時は金なり」ではなく、実際、「時はアート」なんです。「時間は芸術」なんです。アートを通して、私達は自然のリズムと、また再び自然とひとつになるという事を達成できると思います。

 

ロイディーン)

ここで理解して欲しいのは、芸術とは、良く考えられているようにエゴから生まれているものではなくて、エゴ以上のものがあると思うんですね。アーチストは、時間をはずした日のアーチト達が気がついたように、アートは人間の魂を、高揚させる、高める効用があります。そして高揚させることによって、地球全体を一つとなる、そういった機能も持っています。

 

柳瀬)

この雑誌は、日本の芸術家達、あるいは、コンサートやイベントをプロデュースする人達が読むので、その人達に、お二人から、呼びかけをぜひしていただきたいんですが。

 

ホゼ)

私のメッセージは非常にシンプルなものです。あなたが詩人であれ、ダンサーであれ、音楽家であれ、絵描きであれ、どんなタイプのアーテイストであれ、7月25日の「時間をはずした日」にイベントを行って欲しい。また、イベントをやらなくても別にいいんです。毎日行っていることを続けてもいいんですが、この日がやってきたら、この日のことを考えてみてください。この「時間をはずした日」にこそ、あなたが日々やってきた芸術活動が花開くときなんだと、フォーカスしてください。あらゆるアーチストはテレパシーでつながっていると考えてみてください、この日にこそ私達は力、美しさ、そして祭りと言う意味でひとつになることができます、もちろん、ポジティブな意味でです。もし、あなたがやってきた芸術活動が花開く時があるとすれば、2000年の7月25日「時間をはずした日」以外は、ありえないということです。この日こそが、芸術を通して世界を変えることができると示すための日です。「時間をはずした日」に向かって皆さん、(意識を)集結しましょう。

 

柳瀬)

芸術の本来の意味。そして、芸術家達がはじめて時間について哲学を持ち始めた。そういう中で、新たに「時間をはずした日の祭り」に、何を、祭りとして、自然のリズムのなかでの祭りで、芸術家が何ができるか。を、もう一辺、考えたいんだ、ということになります。

 

ホゼ)

Time is art(笑)

 

柳瀬)

そうですね。 Time is art(笑)